美作のサバズシ トップページに戻る
前← 目次 →次
 秋祭りに欠かせないハレの食べ物に鯖鮨があります。美作独特のものだと聞
いています。少し前までは「祭といえば鯖鮨」と言うようなものでした。
 美作は日本海にも瀬戸内海にも遠いので、魚は塩物になります。日本海の鯖
を奥鯖といったそうです。2枚におろし、まず塩抜きをします。桶に塩抜きし
た鯖を2日ほど酢漬けにして、骨と皮ををきれいに取り除きます。その鯖に酢
と砂糖をまぜたご飯を内側に盛りつけます。1匹ずつ竹の皮に包み、まとめて
重石をします。数日漬けたものを切って食べます。
 祭り前になると主婦は鯖鮨作りがせわしくなり、竹の皮に包む仕事などは家
族みんなが夜なべします。多い家では30本ほども作り、秋祭りのご馳走にし
ます。土産に持ち帰らせたり、贈り届けたりもします。届先の祭にはお返しの
鯖鮨を頂き、今日は○○祭、今日は・・と鯖鮨を楽しみにしたものです。
 県南の人には「あんな鮨はどうも・・」と、歓迎されない声を聞きますが、
美作育ちの人には無くてはならない古里の味です。でも今は自家製はだんだん
と減って市販物になり、その上、子供たちもあまり好まないようです。

                              (94/12/13)