稲の朝露 トップページに戻る
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S:「お米がご飯として食卓にあがるまでに、八十八の手間と約半年の期間が
かかるそうです。お米づくりに直接か関わっていない私が偉そうなこと言えな
いのですが稲の成長というものは、本当にすごいものだと思うのです。籾だね
の一粒から同じ顔した籾を作るのです。」
S:「二階の窓から見ると、わが家の田圃はすべて見渡せます。水が張られた
田圃に青くて小さい苗が、順序よくきちんと並べられている風景。黄色に実っ
た稲穂が、風に揺られてなびいている風景。・・どれも素敵ですが、稲の一生
の中でいちばん美しいのは何と言っても朝葉の表面に露を宿しているとき。」
S:「農業音痴の私は、朝霧がかかっているのだと思っていたのですが、違う
ようです。自分が吸い上げた水分を葉の表面に露として宿らせているのですと。
もうすぐ穂がでてくるよという合図? それともわが子を生み出す力いっぱい
の汗の粒なのでしょうか?」
S:「白い稲の花が咲く頃、その葉は一段と緑深いようにも思えます。お百姓
を知らない私だからこそこんなこと考え、言ってられるのかも知れません。」

                              (94/09/08)