大山(1711m 鳥取県)の散策コースでは大好きな宝珠尾根ー三鈷峰ーユ−ト
ピアー象ヶ鼻コースに紅葉を撮りに行きました。今回は撮影優先ということで
天気と紅葉で期日を決め10月22日(火)に、美作山爺会がよたよたと出か
けました。カメラ・三脚で荷は重くなっています。
(大山寺駐車場 8:10 780m) よく晴れて風のない今朝は2度の冷え込みで
す。互いの近況を語りながら、千余の歴史を秘めた石畳の参道を奥宮へと登り
ます。周りの木々も見上げる山肌も錦秋に色づいて、紅葉写真の傑作を待って
くれています。壮大な権現造りの奥宮に拝礼し、右手裏の小径に入ります。い
きなりブナや大杉の混じった原生林です。車道を横切り、悪路の涸沢を進みま
す。登るにつれて杉は姿を消し、ブナの幹は太くなっていきます。
(下宝珠越 9:30 1130m) 急坂をあえいで尾根にたどり着き、やれやれと腰
を下ろすと、林の間に弓が浜海岸や島根半島や中海が望まれます。休む間もな
く撮影会に一変。ここから予定時刻の遅れが始まり、下山を急いでも取り戻せ
ず最終は1時間遅れの日暮ぎりぎりになったんです。
見事なブナ林の中に宝珠尾根道が南北に続いています。この林は2mばかり
の低木が林床を覆い、中間層になる樹木が無くてブナの大木と低木の間は広々
した見通しのよい空間です。そのブナの木肌に朝の日・夕の日が真横から当た
り、「ええなぁ!」「ほう、ほーー!」とうっとりさせてくれます。
(中宝珠越 10:30 1220m) この辺りが紅葉の最中のようです。右手にはナ
ナカマドの赤やクロモジの黄葉の向こうに大山の荒々しい北壁が迫ります。左
手前方には三鈷峰がピラミッド型の岩壁をさらけ迫力十分です。その崩れる岩
壁にも赤・黄・緑の樹葉が点々とへばりついています。
「ザックが重くて望遠レンズを持って来てない。惜しいことをした。」
「先日買った広角ズーム(21万円)を持って来りゃぁよかったな。」
「今日は、このカメラがびっくりしょうるで・・・いつも孫ばかり撮している
んで・・・」(カメラも紅葉を満喫したことでしょう)
(上宝珠越 11:50 1400m) 三鈷峰・ユートピア・象ヶ鼻が眼前に迫ってい
ます。もう予定では最終地点・象ヶ鼻での昼食時刻になっています。
「この調子だったらまだ相当かかるで。今日は三鈷峰でメシにしょ。」
「それでも、まだ1時間は十分かかるぞぉ・・・」
すると最長老が「よし、これを喰えっ」とバナナ・・・その効き目のいい事。
勝間ケルンを過ぎ、瓦礫の沢を越え、キャラボクをくぐり、稜線でも休まず、
両側が切れ落ちた道もさっさと通り、あっという間に三鈷峰です。
(三鈷峰 12:30 1516m) 西から望む大山は典型的な富士山型で”伯耆富士
”と呼ばれています。その左肩にちょこんと飛び出たコブが三鈷峰です。ここ
からの展望は素晴らしく、すぐ後(南)には大山北壁が幾筋にも深い窪みを掘
って元谷になだれ降り、神々しいほどの姿です。前(北)は大きく開けて山陰
の海岸が足下に広がり、日本海と空がこん然一体となっています。ここから釣
り糸を垂れると日本海の魚が釣り上げれそうです。
たくさんのご馳走と展望と紅葉を体いっぱいに詰め込みました。
(象ヶ鼻 14:00 1550m) 昼食後、すぐ下山とも考えましたが心残りになっ
てはと象ヶ鼻に寄りました。ユートピアのクガイソウなどは茶色に枯れ、ヤナ
ギやカエデは葉を振り落として冬に備えています。
この稜線を登り崩壊した尾根を縦走すると、弥山小屋から夏山道につながり
ます。縦走した若者や年寄りたちが三々五々と下ってきます。一様に「もう2
度と通りません。」と恐がる事しきり。命は大切にしましょうで。
わが爺たちも「明るい内に・・・」と登って来た道を急いで降りました。
(大山寺駐車場 17:30) 下山途中に崖が狭まった金門に寄りました。ここ
には弥山沢・元谷沢・宝珠沢などの膨大な土石流が一気に殺到しすごい様相だ
ろうと察せられます。最後に三千余の僧兵を擁した大山寺に下山を報告。
まだほてる顔でお互いの元気を喜び合い、夕焼けた遠くの西空をぼんやり眺
めながら紅葉撮影のよき日を終わりました。
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