「こりゃあ、困ったぞ。」
登り始めて40分ばかりで道が消えてしまいました。そこは手入れされていな
いアカマツ林の中です。松の間に雑木や枯れ枝やイガがいっぱい絡み合ってい
ます。斜面は急で、おまけに雪が10cmばかり積もっています。
家で昼飯を食べ、午後1時を過ぎてから山歩を思いつたので、遠くの山は無
理です。そこで近くの簡単な山へという事で妙見山を選び、
「ちょっとお参りしてくる。早う帰ってくる。」
と軽い気分で出かけました。
妙見山(ミョウケンサン 610m)は車で20分ばかりの近くの山です。山頂には妙見
様が祀られています。初めての山でしたが、いつも見慣れた低山ではあるし参
拝者も多いと聞いていたので、簡単に登れると侮ったのが失敗でした。
舗装が切れる分かれ道に駐車し、山頂の方角に伸びている林道に入ったのが
大間違い。暫く進むと細い山道になり、間違ったかな?と思いましたが持って
いた地図やコンパスで確かめもせず安易に登り続けました。「どうも間違った
らしい。引き返そうか?」とも思ったんですが。
掻き分け押し分け滑りながら1寸刻みです。低木をくぐると背のザックに付
けている三脚が引っかかるし、膝をつけばズボンは濡れるし。それでも、
「もう山頂も近いし、すぐ道に出らぁ。小さな山じゃけぇ。」
と、軽く考えて進みました。ところが、なかなか大変でした。
骨折って登った山は隣のピークで、結局、2時間かかりました。280の長
い石段を上り山頂の妙見菩薩を祀る北辰妙見宮にお祈りしました。苦労しての
お参りだけにご利益があるような気がしました。いやいや見くびった罰かな?
下りはなだらかな遠回りの林道(参道)を1時間余りで駐車地点へ。
「早う帰ってくる。」は嘘で、夕方になってしまいました。
(近くの低山を甘く見てはいけんなぁ。)と反省しきりです。
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