岩屋城を守る会の呼び掛けで、毎年元旦登山が行われています。ここは1441
年から1590年までの約150年間にわたり、ここ美作の国を覇していた岩屋城。
もう廃城から400年が過ぎています。その岩屋城跡(岡山県史跡指定)のあ
る岩屋山483mの山頂には広い馬場と天守閣の跡があります。
その岩屋山の山頂に地元の人や遠くからの人たち百余人が平成7年の初日を
待ちました。朝靄の立ちこめる津山盆地の遥か向こうの山並が明るみを増し、
日の出も間近です。その瞬間を迎え、みんなシーンとなりました。7時13分。
雪降る中の初日の出です。どよめきと共に拍手と万歳が起こりました。
すがすがしい新年を迎え、山頂で地元ふるまいの甘酒と辛酒をたくさんいた
だいて帰りました。今年はいい年になります。します。
−−− 低山「岩屋山483m」初日遥拝 報告 −−−
5:00 起床。子や孫を起こす。
5:30 子2人(40才に近い男の子)孫4人(5才〜小3年)を連れ、
いや連れられて車で出発。フロントガラスに小さい水滴。でも、空には星。
「おい、雨じゃぁ。日の出は見えんで、帰るか?」
「まあ、星が出とるけえ 行ってみゅうや。」と隣町の久米町へ。
6:00 ランプをつけて登山口出発。いきなりの岩ゴロゴロの急坂悪路。
寺下砦跡横を抜けると、後は細いながらも手入れされた土の道。
6:10 慈悲門寺跡。この辺りからライトにうっすらと積雪が光って来る。
ここは平安初期に天台宗の高僧・円珍の開基。本堂礎石が残っている。
6:20 山王宮跡。向こうの山並の稜線がぼんやり望める。
6:30 龍神池。祠を拝み、めいめい記帳する。小1年の孫がやっと覚えた、
「漢字で名前を書くで。」と。続いて次々と時間をかけて名前を書く。
周りの「早う書けよ。」という大人の顔が覗き込むのを気にせずに。
6:40 9合目辺りの井戸跡。ゴミも入っている若水を長柄の杓でくみ取り回し
飲み。厚着で汗ばんだところなので「うまい。」「うまい。」と歓声。
6:45 馬場跡に到着。南北100m、巾20mの平らな砦跡。3箇所に大きく
焚火が焚かれ参会者が手をかざしながら、新年の挨拶を交わし合う。
日の出の直前に、岩屋城を守る会の会長が挨拶。「一昨年は雲海の向こ
うに、きれいに出ましたが・・」残念ながら、今朝は雲海でなく朝靄。
頭上には小雪が舞い、西の空は暗い雪雲だが、東だけは晴れている。
7:13 まだまだと思っていた時、急に1点の光。見る間にぐんぐんと昇りつめ
る初日の出。一斉に万歳の声。この歳になって初めての経験。良き年を
祈念して手を合わせる。いい年が来ると予感し、それが確信となる。
7:30 「甘酒をどうぞ」に、フーフーと吹きながら熱い甘酒をご馳走になる。
孫らは、何回も何回も人の輪の中のタクワンに手を伸ばして平らげる。
知り合いの係りの方々から「まあ、どうぞ。どうぞ。」に、ハイ、ハイ
と辛酒をよばれる中に、ふらふらに酔ってしまう。
8:00 馬場跡から天守閣跡を巡り、裏手の道を下山。大晦日まで道などの整備
をしたそうで、それに雨が降ってドロンコのツルツル。やっと下山。
9:30 帰宅して初風呂。
浪本(岡山県北)
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