人生は60から トップページに戻る
前← 目次 →次
 もう10年も前になります。当時90才を越え、かくしゃくと現役老人会長
をされていた故Mさんに手拭いをいただきました。Mさんは県の副会長も勤め
ておられ、毎日がお忙しそうでしたが、何時もニコニコされていました。
 久しぶりにその手拭いを広げてみました。それには達筆の詩に「哲山書」と
染め抜かれています。(よく見かけるありふれた手拭いです)
>       人生は六十から
> 一、七十才でお迎えの来た時は 只今留守と言へ
> 一、八十才でお迎えの来た時は まだまだ早いと言へ
> 一、九十才でお迎えの来た時は そう急がずともよいと言へ
> 一、百才でお迎えの来た時は 頃を見てこちらから ボツボツ行くと言へ
 こちらが忙しく仕事をしているときに、ノコノコとやって来ては世間話や昔
話を聞かせてくれていました。前日と同じ話を繰り返し聞いた事もよくありま
した。この手拭いを貰った当時には面白い詩だなぁという気持ちでした。今あ
らためて手拭いを眺め、自分の心の移り変わりをしみじみと味わいました。

                              (94/12/31)
--