キュウリの石 トップページに戻る
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「私らがお嫁にきた頃はキュウリに石をくくり付けようた頃で、糸でくくりや
 すいような石ころを拾うちゃキュウリに釣り下げようた。」
これは特別な意味のある風習ではなくて、キュウリの栽培技術なんです。「子
宝に恵まれますように」という、お呪いのようなものではありません。
 戦後、なんとか世の中も落ち着き、経済の高度成長が始まり、農業も当然大
きな影響を受けました。この地域でも野菜栽培に取り組む農家が現れ、規格の
そろったキュウリが大量に大阪方面の市場に送り込まれました。
 その頃はキュウリは曲がっているものと思われていましたが、曲がりの部分
が苦い?という事などで商品価値が低く農家の悩みでした。そのために石をつ
り下げてまっすぐいキュウリを作りました。親指と人差し指の先を合わせた位
の石を拾い、紐で結び針金を付けて、花の終わった頃キュウリの先に刺し重石
にしました。次々に育ってくるキュウリ1本1本への作業で連日の重労働だっ
たようです。昭和30年前後のことです。
 今は品種改良が進み、重石などしなくても曲がらないようです。

                              (94/12/04)