1996.03.26(火)
春のえくぼ・櫃ケ山
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 (ドーナツ雪解け) まだ7・8合目からは50cm前後の根雪です。それ
でもやっぱり春ですなぁ。あの無垢な肌を柔らかく窪ませた ”春のえくぼ”
が、「もう春ヨ。」と知らせています。見た目には、まだまだ新芽も固い落葉
の木々たちも、それぞれ根元には春の精を呼び寄せ、根雪をドーナツ状に溶か
して微笑んでいます。

 (自然の神秘) 《 残雪の山肌に立つ木々の周囲の雪がドーナツ状にとけ
て ”春のえくぼ”を創っています。雑木林の雪肌に春を知らせる微笑みのよ
うで、自分勝手に”春のえくぼ”と呼んでいます。あれを見ると何となくホカ
ホカしてきます。体温ならぬ木温があるのでしょうねぇ。》
と、あるフォーラムに書いたのは昨春です。すると、共感くださった方もあっ
たり、いろいろ教えてくださった学者肌の方もありました。

 (学者肌の方から) 『雪が木の周りだけ融ける現象は、私の家の庭でも見
られるありふれた現象です。大規模なものは蔵王の例のモンスターですね。あ
れの根元は大きな落し穴のような深い穴になっています。・・・

 (ヒートポンプ)・・・あれはヒートポンプ現象で、木の幹が下の暖かい土
から熱を汲み上げる役割を果たしています。これは木が生きていようと死んで
いようと、あまりその効果には関係ないようで、枯れ木でも電柱でもこの現象
は起きるのです。』
・・・と教えてもらいました。

 (もっと詳しく) 『ヒートポンプというのは熱源から効率よく熱を吸い出
して、これを他の場所で放熱する装置の総称です。冷蔵庫はこれの典型ではな
いでしょうかね。ただ、冷蔵庫は冷たいところから熱を取る関係上、エネルギ
ーを与えてやらなければなりません。

 地中に石を埋めて昼間の太陽熱でこれを熱し、夜間にこの熱を取り出すので
すが、このとき熱を取り出すのに使用されるのがヒートポンプです。比較的低
温で気化する液体を封入しておけば、その石の熱で液体は気化します。このと
き封入された大きな潜熱を取り込みますから、放熱するときは温度差が少ない
割には大きな熱量を取り出すことができます。放熱した気体は元の液体に戻り
ますから下の方へ流れて行きます。ですから熱を取り出すのにエネルギーを補
ってやる必要がありませんね。

 立木や電柱はこれほど効率がいいわけではないのですが、温度の高い地中に
その先端が埋まっているので、熱伝導によってその熱が上へ上がって来ます。
この熱によって木の回りに積もった雪が融かされるのだそうです。つまり、熱
を汲み上げるということでは立木はヒートポンプの役割を果たしているという
こと・・・。』 だそうです。

 (微笑み) まあ、それはそれ。モナリザの微笑みは”謎”として、ヒート
ポンプならぬあの ”春のえくぼ”の微笑みは、あっという間に花をいっぱい
開かせ、そして、ふるさとの野山を風薫る新緑にしてくれるんですよ。

 (データ) 櫃ケ山 954m ヒツガセン 岡山県湯原町 (本年3回目)
’96.3.26(火) 快晴  山頂付近の根雪 50cm前後  単独
家発 13:10 軽トラ     登山口 13:45 270m     水場   14:20 490m
5合目 15:00 600m    蒜山三座が白く光って    天狗森の分岐 15:00 780m
山頂 15:25-15:35 954m (天狗の森 寄らず)   森分岐 15:45
五合目 15:55    水場 16:05    下山 16:25   足温泉 16:35-17:00

please mail to akiyuki@soon.com(メール代理受:黒江彰之)