学校帰りと筏 トップページに戻る
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  小学校何年生の時かは覚えていません。たぶん3・4年生でしょう。いつも
のように5〜6人で遊びながら学校から帰っていました。通称サカマキ(逆巻)
と呼ばれる川のトロ場まで帰った時です。ここは川の流れが崖にぶつかり淵に
なり、そこから川下200m程は流れの緩やかな深みになっています。
 そこに筏がいました。2〜3間の杉・檜の用材を巾4m長さ50m位の筏に
組んで、川下に運んでいます。たった1人の船頭は長い竹竿を川底に突っ張り
筏を漕いでいます。流れが緩やかで筏が流れません。そこで竿に力を入れ、筏
の先頭から後尾まで歩いて漕ぎます。後尾まで来るとまた先頭からやります。
「おい。あれに石をぶつけちゃろうや。」
当時は石ころ道です。学校帰り、みんな拾っては投げ拾っては投げしました。
「こりゃあー」 船頭が大声で怒ると、いちもくさんに走って逃げました。
 < 川が大切な交通路だった >と言う話がでるたびにこの事を思い出します。
動きの遅い逃げ場のない筏を狙うのは、無抵抗なホームレス老人を襲うのと同
じです。懺悔。今、筏はありません。国民学校(戦時中)の話です。

                              (94/08/12)
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